エミール・ガレ 作品の魅力
エミール・ガレ作品の魅力は色々と有りますが、私は「作り込み」がその一つだと思います。例えばこの「アイリス花瓶」ですが、グリーンの素地には気泡を無数に封入しています(難易度A)。問題は次からです。マルケットリーという、ガレが1898年に特許を取得した技法で、数えきれないほどのガラス片を本体に象嵌します。数枚のガラスが重なり合っている部分もあります。ガラスが冷えて行くうちにひびが入ることがほとんどです(難易度ウルトラC)。そして完成までの道のりはまだ続きます。先ほどの象嵌した部分に細かい彫刻を施し、花の細部を表現して行きます。ただでさえ繊細な、象嵌を施したガラス生地に刃をあてるのですから、破損し易いです。並みの神経では出来ません(恐怖度ウルトラC)。こんな無理を重ねた作品を多数出品し、1900年のパリ万博でグランプリを獲得しました。そして、その4年後に亡くなってしまいました。そんなガレの作品が、私は大好きです。